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風信子の家 神代教授の日常と謎

『風信子の家 神代教授の日常と謎』東京創元社 / 篠田真由美:著
風信子はヒアシンスと読むそうです。…知らなかったんですけどね、ソレ。
で、タイトルにも違いがありまして、どうやって表記すれば良いのか解らなかったので普通に書いたのですが。
「神代教授の日常と謎」の「と」の部分に点(、)が付いているのです。
「神代教授の日常と、謎」ではなくー…えっと。
タイトルは縦書きなのでこっちでも縦書きっぽく書きますと








と ←ココの真ん中辺りにの高さに点(、)が付いてる。


なのです。
…んもー、説明難しい(つд`)
察しの悪い高峰にでも「と」に重点を置かせたい意図があるのだろうとは解りました。
で、中を読んでみて推測。
ミステリは好きで読んでますが、中の人馬鹿なので曲解してるだろうとは思われますが。
ミステリと銘打った本(で良いと思います)なのだから、謎があるのは当たり前なのですが、全体的には「日常」に重点が置かれているかなと。
…とか書いていくと感想にも触れてしまうのでこれに関して思った事は追々書く事にしまして。

篠田真由美作品は建築探偵シリーズを主に数作読んでいる程度。
個人的な感覚ですが、どちらかと言うと好きとのベクトルには傾いている作家です。
全作を読む勢いでの好きではないのですけども。
…なんか失礼な発言した気がする。お気を悪くした方がいらっしゃったらすいません。

で、こちらの作品は建築探偵の番外編、建築探偵シリーズの主役である彼等が身を置いていた家の家主である神代教授が主人公となる話です。
短編集。
≪建築探偵≫番外編、神代教授シリーズ始動!と書かれているので(色変え部分は帯より抜粋)、今後シリーズ作として独立していくのだろうと思います。
読む上で建築探偵シリーズを知らずとも構わないとは思うのですが…、実際時系列的には建築探偵のあれら話が始まる前(でいいのかな?)なので、建築探偵シリーズにある事件に触れる事は全くないのですけども。
先に建築探偵シリーズを読んだ者としては、これを機会に建築探偵シリーズに手を出してみては如何? なんて思います。
蒼、京介、深春の3人はガッツリ出演してますのでっ!


とりあえずあらすじ。

カバーの折込部分(って言うの?)に書かれたあらすじを載せさせて頂きます。

W大教授・神代宗の自宅に、ひとつの贈り物が届けられる。箱の中身は「君にこの謎が解けるかな?」というメッセージと、家屋の精巧な立体模型。その模型の中で、人形は背中を刺されて殺されていた。現場は密室。いったいこの贈り物は何を意図したものなのか? メッセージに記されていた名前を頼りに、神代は自らの記憶を探り始める。真相の鍵となるのは『虚無への供物』と詩人・立原道造ーー。(表題作)

収録作品は

風信子の家
夢魔の目覚める夜
干からびた血、凍った涙
クリスマスは嫌い
思いは雪のように降りつもる

「クリスマスは嫌い」のみ書き下ろし作となっているようでした。


そして感想。
先ほど先延ばしにした「と」の部分の点に関してこちらで触れる事にします。
神代さんが謎を解いていくとの形の作品ではないと思いました。
日常にある謎と言うか、巻き込まれる形で謎が出現するのですが、神代さんの立ち位置は現われた謎を解く探偵との位置とは異なっている様に思えました。
神代さんの日常の中に現われた謎。
主人公は紛れもなく神代さん。でも探偵役ではない。かと言ってワトスン役なのかと問われるとまた違うと感じるのですが。
謎は小説との話の中では必要な物だけども、探偵としての役割を持たない主人公の神代さん。
謎があるから小説との形態になっているのですが、謎は構成要素であり、「神代教授の日常」が前提として存在してる…って、何書きたいのかサッパリーなんですけどもー。
言葉に上手く変換出来ないのがもどかしいのですが、「と」の横に付けられた点はその後の「謎」が付与されているからこそ小説になってるのであって、元の土台として一番感じて欲しいのは神代教授の日常なんではないかと。
謎ありきの話ではなく、日常ありきの話。
そんな風に感じたので、あの「と」の横の点はそれを意図してるのかな? と思いました。
…んーなんか違うな。
書いてみると感じた雰囲気と言葉での感じが異なってしまう orz
うーん…文才がないって切ないね。
そう言う問題じゃないか(^^;


・風信子の家
京介と蒼が出てます。
届けられた立体模型の家の中で殺されている人形の謎の解はある意味「それってありかよ」。
でも、謎というのは感じた人間の思い込みにもよるとの皮肉を交えてのあの解なのかと。

故人となった人が最後まで隠したかったモノ。
届けられた立体模型はパンドラの箱だったのではないだろうか。
中に入っていたのは人形だけではなく、故人のあの時の思い。
箱の奥にあったのは希望ではなく追憶だったのかもしれない。
思い出した方が良かったのか、忘れたままの方が良かったのか。
故人にとっては忘れ去られたままの方が良かったのだろうか。
最後はほんのりと切なく、後ろめたさを感じた。


・夢魔の目覚める夜
深春が出ています。
学生が心霊写真について話していた現場に神代さんが居た事から始まる話。
過去に卒論を指導した事のある女学生の弟から見せられた2枚の写真。
知的好奇心に溢れた女学生は親の反対を押し切って結婚し、そして夫となった男性は急逝した。
そして未亡人となった彼女が父親にその写真を送ってきたのだった。
事故で亡くなった夫。
しかし彼女は父親が殺したのだという。

こちらも核となる謎は2枚の写真と見られ、蓋をあけてみれば「なんだぁ」との答え。
しかしそれがもたらした悲劇はまさに悲劇としか言い様がない。
夫の死亡した原因。そしてその真実。
「その方が、おまえも後悔せずに済む」
それは彼女に向けた言葉でもあったのだろうが。
最後には希望が持てる終わり方だったのが救いなのではないかと思った。


・干からびた血、凍った涙
…あれ? ちょっと待って。これ、神代さんの話じゃないんか!?
とりあえず突っ込み。
蒼大活躍。
この話は蒼の内面に触れているので、建築探偵シリーズを知らないと「この蒼ってヤツはどういうヤツなんだ?」と疑問が浮かぶに違いないと思います。
…まぁ、メインとなる話に入るきっかけであって、流しても問題はないと思いますが。

自殺した兄。
けれど兄は自殺するそぶりは見せなかった。
自殺なんて信じられない。
認めたくないからこそ兄の死の理由を探る。
そんな話。

真相を知れば納得出来る。
けれど、真実が優しいとは限らない。
深い楔となって傷つける事だって多いのだ。


・クリスマスは嫌い
読んだ時期がクリスマスだったなら尚良かったのだが。

唯一心和んだ話。道中はやや痛かったけれど。
謎らしい謎はない。
けれど挟まれたこの話によってふっと息抜きが出来たのも確か。
あぁ…いい。凄く良い。
やっぱ蒼は可愛いじゃないか、くーw


・思いは雪のように降りつもる
彼等3人の出番はない。
個人的にはこの話の面子…と言うか、探偵役となった彼と神代さんがこのシリーズを引いて行ってくれると嬉しいと思う。
彼等3人が出なければ良いのではなく、彼等3人が出過ぎると、どうしても建築探偵の時系列が気になって、そちらにも目が行ってしまうので。
…読み手の我侭なんですけどね(><)

学生時代にほんの少し関わりあった女性。
とても目立っていた孤高の女性。見た目では知り合いにはなりたくない雰囲気の、また彼女のそれを狙って振る舞っていた様に思う。けれど話すと頭の切れるしっかりした人だと解った。
しかし親しい間柄ではなかった。
言われてやっと思い出す事が出来た、程度の知り合い。
その彼女は20年前に死んでいた。
20年前に死んだ彼女は自殺だった。
けれどそれは本当に自殺だったのか。自殺だったとしたらその理由は。
神代さんはその謎を提示した友人に同行し、彼女の死の真相を知る。

帯にも記されている「だが、思いは消えないだろう。残る」との台詞はこの話で使われていた。
この本の全ての結末にこの言葉がかかっているようにも感じた。
死した人たち。その真相を知った生きる者たち。
真実が如何に重く辛かろうとも、生きる者には残されたものがある。
悔やみきれないものもあるだろう。
けれど。

収録作で最後にコレが来たのは凄いと思った。
全てがあの言葉とその先のシーンに終息する。
読後は微かに温かい。
収録順の美しさを感じました。




先にも触れましたが、建築探偵シリーズを知らずとも良いとは思います。
しかし、読んで気になったのなら建築探偵シリーズに手を出してみるのをお勧めします。

この本自体は好きだと感じました。
多分また時間を置いて再読すると思われ。

最近短編集(連作短編?)の方が読みやすく感じててね…。
長い作品を一気に読破するのが厳しく感じてしまう切なさ。
読書量が極端に減ってるのがその理由かも知れません。
…気のせい?

拍手

自分の書いた感想(!?)を読み返していて不意に思いついた事があったので追加してみる。
個人的な感想で、思い込みによる内容になるので読まなくても構いません。

ってか、こう言うのをブログとの誰しもが目にする場所に書いて良いのかとは思うのだが。
……

いや、それを言い始めると感想自体書いても良い物かとの疑念は浮かぶのですが。

脱線。

今までの文章もなるべくネタバレには考慮したつもりではありますが(つもりであって完全にネタバレしてないとは言えないのが「あれれ?」ですけども)、以下は結構バレに通じると思うので、未読の方は閲覧を遠慮して頂くのが好ましいかと思われ。
真相はコレだった! とかそう言う事を書く訳ではないのですが、真相を察する可能性は高そうに思うのでー。




つーかね。本気で読まなくても良い文なんですよ。ココから下の文章は。

なのでUPってはありますが、読まれない方を推奨するのですがー(ぁ

















では書きます。

読んで気分を害したって知りませんよ?











「風信子の家」に関してですが、
『彼』があの模型に託した思いは『私はアナタに殺されました』だったのではないでしょうか。
無論『彼』は実際に殺された訳ではない。
故人とはなっておりますが、殺された訳じゃないですから。
でも『彼』そっくりと思われる人形を死体に見立てた。
それは死体を他者に似せるのに躊躇したのではなく、殺されたのが自分だったからなのではないかと。

あの日、本に挟んだあれを見られた時。
神代さんは自分がどんな態度をとったかは覚えてなかったけど、彼は渡そうとしていた本を奪い「忘れてください」と言った。
高潮して涙ぐんだ顔で。
間に会話があったのかは解らない。
けれど彼はその時激しい拒絶を感じたのだろう。
だからこそ声を張り上げ謝り、忘れろと告げて駆けて行ったのだろう。
あからさまな拒絶を感じたからこそ。

彼の思いは殺された。

そして彼はあの頃の思いを笑い話として昇華する事が出来たのだろう。
だからこそあの模型を作った。
娘の言葉からも彼が冗談を好む資質だったと出ている。
昔、こんな事があった。でも今はそれを過去の物として捉えられている。
誰に向けた模型でもない。
それは彼自身が若かりし思いを懐かしむ気持ちで作った物ではないだろうか。
宛てた手紙も渡すつもりはなく、ジョークのつもりで書き添えた物。

あの時、私の思いはアナタに殺された。

自分を殺した相手に謎を問いかける手紙を添える。
それが彼の冗談だったのだと思う。
コレをもし相手に渡したら驚くだろう。
それを想像して一人笑う。
けれどそこに暗い意味はない。


時間を経て思いは風化していく。
冗談で作った模型。
作った模型は自身としては懐かしい。
けれど今となっては妙に気恥ずかしい昔の思い出。
自分以外の誰かに見られたら厄介な事になりはしないか?
いつか機会があったら捨てよう。
そう思っていても一人暮らしの男ヤモメ。
捨てるのはいつでも良いさと思いながら伸ばしてしまい。
ーーそして彼は本当に死んだ。


以上が私の想像。
故人は明るく楽しい人だったらしいから、あの模型には妙な意味は含まれて居ないと思った。
文章に書かれていない事柄がどうなのかとは読者には解らない。
けれど、模型を作ったからにはそれなりの理由があったのでしょう。
だとしたら、私の想像出来るのはこんな感じかな? と。

悶々として作っていた訳でも、恨みを込めていた訳でもない。
只、若かったなと過去を振り返り、本にヒントを得て懐かしむ為に作ったものだったと思ったのです。

そんな妄想。
この話を読まれた方も色々と想像を巡らすかも知れませんが、私はこう思いましたとの追記文でした。

書く必要もない事でしょうがね(^^;

本を読んで、「書かれない事」に思いを巡らすのも時には楽しいです。
…完全なる自慰的行為ですけどもっ! orz


ココまで読まれた方(いるのかな?)、お疲れ様でした。
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